平和安全法制について

今国会の最重要テーマである「平和安全法制」は2015年5月21日に衆議院に設置されました正式名称「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」とい名前の委員会において「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案 及び 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案を審査するため」という設置目的に沿い、与野党45人の委員によって議論されます。今津寛は浜田靖一委員長のもと、理事として委員会の運営に当たっています。
 
我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会 委員名簿
大変長い委員会名と設置目的で難しい印象ですね。
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ここでは今回の審議について出来るだけ解り易くご説明したいと思います。
 
先ず「平和安全法制」は自衛隊法の改正などについての「平和安全法制整備法」と国際社会の平和安全のために行う支援活動についての「国際平和支援法」のことを言います。
 
ポイントは以下です。
 
・集団的自衛権の行使を限定的に容認します
日本の同盟国や友好国が攻撃を受け、それが日本の存立も脅かすような※「新3要件」にあたる場合に限り、日本防衛のための自衛の措置として、必要最小限の武力の行使ができるようにします。
 
・外国の軍隊への後方支援を拡充・迅速化します
日本の平和と安全に重要な影響を与える事態では、自衛隊による外国の軍隊への後方支援(補給・輸送・医療など)が円滑に行えるようにします。ただし、戦闘現場では支援活動を行いません。同様の後方支援を、国際社会の平和と安全を脅かす事態でも行えるようにするため、新しい法律をつくります。
 
・国際貢献を拡大します
紛争後の国際貢献として、自衛隊がこれまでも参加してきた国連PKOに加え、有志国が実施する類似の活動にも、PKOと同様の条件を満たせば、参加できるようにします。また、付近で活動中の日本人ボランティア等に危険が及ぶような時は、自衛隊が駆けつけて警護できるようにし、そのようなケースに限り、武器の使用制限を緩和します。
 
・離島警備の迅速な出動と在外邦人の救出を可能にします
軍隊ではない武装集団が離島を不法占拠するようなケースで、警察の対処能力を超える場合は、迅速に自衛隊が出動できるようにします。また、海外の日本人に危害が及びそうな時、その国の同意を得るなどの一定の条件のもと、自衛隊が救出に向かうことを可能にします。
 
・「新3要件」や国会承認などの厳しい歯止めがあります
今回の平和安全法制には、厳しい歯止めをかけていますので、むやみに自衛隊を出すことはできないようにしています。国際貢献でも「参加5原則」などを満たす場合に限られ、外国の軍隊への後方支援は、「国会の承認」を得なければなりません。武力の行使となると、「新3要件」を満たすことに加え、「国会の承認」も必要となります。
 
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※【参考】武力を行使する際の厳しいルール「新三要件」
1.我が国に対する武力攻撃が発生したこと、または我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
2.これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
3.必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
 
解説しますと、先ず、日本を取り巻く安全保障環境は変化しているということです。例えば、北朝鮮は核実験を繰り返し、日本全土を射程に入れたミサイルを配備しましたし、中国は急速に軍備を増強しつつ、頻繁に尖閣諸島の日本領海に公船を侵入させています。自衛隊の緊急発進(スクランブル)の回数も、10年前の7倍です。一方で、この地域へのアメリカの影響力には変化が見られています。さらに、軍事技術の大幅な進歩に、宇宙・サイバーなど新たな分野も加わり、世界中のどこからでも日本の安全が脅かされる時代になっているのです。
今回の平和安全法制の目的は、抑止力をさらに高めることで、日本が戦争に巻き込まれないようにするものです。抑止力とは外国からの攻撃に万全の備えがあることを相手に知らしめ、日本への攻撃を事前にあきらめさせることです。平和安全法制の目的は、憲法と専守防衛の範囲内で抑止力を高め、戦争を未然に防ぐことにあります。
世界中の国が、外交と抑止力の両面で戦争を防いでいます。特に、戦争を放棄した日本にとって、武力の行使は自衛に限った最後の手段です。戦わずして攻撃を事前に防げるかどうかがカギになります。今回の平和安全法制で抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受けるリスクは大幅に低下します。集団的自衛権の行使に基づく自衛隊の活動は日本人の命を守るための活動に非常に限定されます。
たとえば朝鮮半島でアメリカを交えた紛争が発生し、避難する日本人を乗せたアメリカの輸送艦が公海上で攻撃を受けた場合、この船と日本人を自衛隊が守ることができるようにします。また、重要な海峡が機雷で封鎖されて日本への石油やガスが途絶え、国民の生死にかかわる明らかな危険がある場合、停戦前でも機雷の除去作業ができるようになります。
これらの行為は国際法上、集団的自衛権の行使に分類されています。日本の領域への攻撃時に行使する従来の個別的自衛権では、対応できないケースです。
誤解からアメリカの要請を断れず、日本と関係ない戦争に巻き込まれないかとのご指摘を受けますが、これは絶対にありえません。新たな日米合意の中にも「日本が武力を行使するのは、日本国民を守るために限る」とはっきりと書き込んでいます。
集団的自衛権の行使は、憲法と平和安全法制で日本独自の厳しいルールを定め、日本防衛のための自衛の措置として、「新3要件」を満たす場合に限っています。
仮にアメリカから、要件に該当しない武力の行使の要請があったとしても、断るのは当然のことです。かつての湾岸戦争やイラク戦争のようなものに自衛隊が参戦することは、絶対にありません。
また将来徴兵制になって、若者が戦地に送られるとの想定は大きな間違いです。そもそも徴兵制は憲法で許されませんし、近年は軍事技術の高度化によってプロしか扱えない装備がほとんどで、徴兵制を導入する意味は少なくなっています。日本を含めた先進7カ国で徴兵制の国はなく、その他の国も志願制に移行しつつあります。
繰り返しになりますが集団的自衛権の行使に基づく自衛隊の活動は日本人の命を守るための活動に非常に限定されています。
同時に国際社会の一員として人道復興支援や安全確保等の活動にも積極的に取り組む責務を果たさなければなりません。
そのためには今回の「平和安全法制」の審議を通じて日本が国際社会と信頼及び協力関係を深め、あらゆる事態に対応するための法整備を行う必要があるのです。
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